君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
店の前に着くと、中に小さな灯りがついて、ブラインドが半分ほど下ろされていた。
ドアを三回ほどノックするとブラインドが開き、花音がひょっこりと顔を出す。
彼女の口がゆっくりと動く。
(裏に回って……か)
口パクでそう伝えられ、裏手に回ろうとして、ふと足を止めた。
「……」
つい最近まで、防犯カメラを設置していたその場所には、今はもう何もない。
(終わったんだな)
裏手の玄関前に着いたところで、タイミングよくドアが開いた。
「お疲れ様」
愛らしい笑顔が、僕を出迎えてくれる。
「うん、花音もお疲れ様」
裏手のドアに鍵をかけ、店のシャッターを閉めると、並んで歩き出す。
「あっ、そうだ」
足を止め、同じよう足を止めた彼女に、僕は鞄から婚姻届を取り出し渡す。
「森下さんに記入してもらったよ」
「わあ……ありがとう。私からもお礼をお伝えして」
手に持った婚姻届の証人欄を嬉しそうにまじまじと見る彼女。
数日前に二人で役所に行き、婚姻届をもらった。その足で自宅に戻り自分たちの分を記入し、今日、森下さんに記入してもらった。
「証人、決めた?」
「あ……」
そう聞くと、彼女は分かりやすく顔を曇らせた。
「や、やっぱり、私の分の証人も、要くんにお願いしてもいいかな? あっ、要くんのご両親とかは?」
きっと彼女の頭の中には、父親が浮かんでいるに違いない。だが、それを口にはしない。
(義弟のこともあって、余計に帰りづらいだろうしな)
でも、彼女には向き合いたい気持ちがあるはずだ。だが、どう一歩踏み出せばいのか分からず、戸惑っているのだろう。
「ねえ、花音。もう一人の証人、君のお父さんに頼んだらどうかな?」
「えっ……」
目を見開き驚いた様子の花音。僕がお父さんの名前を出すのは、思いがけなかったようだ。
「で、でも……」
戸惑う彼女。無理はさせたくない。父親と会うことで、辛い記憶を呼び起こすことになるかもしれない。でも、僕だけが彼女の背中を押すことができるのだとも思う。過去の苦しさを悲しさに打ちのめされそうになりながらも、それでも前を向こうと、僕との未来を選んでくれた彼女に、何かしてあげたい。
「君のご両親に挨拶がしたい。だから、僕も一緒に行ってもいいかな?」
「要くん……」
華奢な身体を掬い上げるように、優しく包み込む。
「大丈夫。僕が側にいる」
迷いながらも、ぎこちなく弱々しい手が背中に回されると、徐々に力をこめて、僕の抱擁に答えてくれた。
「うん……分かった。お父さんに会いに行く」
ドアを三回ほどノックするとブラインドが開き、花音がひょっこりと顔を出す。
彼女の口がゆっくりと動く。
(裏に回って……か)
口パクでそう伝えられ、裏手に回ろうとして、ふと足を止めた。
「……」
つい最近まで、防犯カメラを設置していたその場所には、今はもう何もない。
(終わったんだな)
裏手の玄関前に着いたところで、タイミングよくドアが開いた。
「お疲れ様」
愛らしい笑顔が、僕を出迎えてくれる。
「うん、花音もお疲れ様」
裏手のドアに鍵をかけ、店のシャッターを閉めると、並んで歩き出す。
「あっ、そうだ」
足を止め、同じよう足を止めた彼女に、僕は鞄から婚姻届を取り出し渡す。
「森下さんに記入してもらったよ」
「わあ……ありがとう。私からもお礼をお伝えして」
手に持った婚姻届の証人欄を嬉しそうにまじまじと見る彼女。
数日前に二人で役所に行き、婚姻届をもらった。その足で自宅に戻り自分たちの分を記入し、今日、森下さんに記入してもらった。
「証人、決めた?」
「あ……」
そう聞くと、彼女は分かりやすく顔を曇らせた。
「や、やっぱり、私の分の証人も、要くんにお願いしてもいいかな? あっ、要くんのご両親とかは?」
きっと彼女の頭の中には、父親が浮かんでいるに違いない。だが、それを口にはしない。
(義弟のこともあって、余計に帰りづらいだろうしな)
でも、彼女には向き合いたい気持ちがあるはずだ。だが、どう一歩踏み出せばいのか分からず、戸惑っているのだろう。
「ねえ、花音。もう一人の証人、君のお父さんに頼んだらどうかな?」
「えっ……」
目を見開き驚いた様子の花音。僕がお父さんの名前を出すのは、思いがけなかったようだ。
「で、でも……」
戸惑う彼女。無理はさせたくない。父親と会うことで、辛い記憶を呼び起こすことになるかもしれない。でも、僕だけが彼女の背中を押すことができるのだとも思う。過去の苦しさを悲しさに打ちのめされそうになりながらも、それでも前を向こうと、僕との未来を選んでくれた彼女に、何かしてあげたい。
「君のご両親に挨拶がしたい。だから、僕も一緒に行ってもいいかな?」
「要くん……」
華奢な身体を掬い上げるように、優しく包み込む。
「大丈夫。僕が側にいる」
迷いながらも、ぎこちなく弱々しい手が背中に回されると、徐々に力をこめて、僕の抱擁に答えてくれた。
「うん……分かった。お父さんに会いに行く」