聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「何が目的だ」
「ニセラに興味を持ってくださるなんてぇ、すごく光栄ですぅ! 風邪を引く前に、暖かな部屋でお互い身を寄せ合って、口では言えないあれこれをしたいと、思いませんか?」
「興味ない」
「ええ~? こーんなにかわいい聖女から言い寄られてるのに、誘いを断るなんてぇ! セドリックったら、ひどーい!」
「黙れ。二度と俺の前で、聖女を騙るな。叩き斬るぞ」
「――悪逆非道な皇帝って話がほんとだったら、ニセラはとっくの昔に物言わぬ躯になっていたはずですよねぇ~?」
ニセラはまるでセドリックの弱みを握ったと言わんばかりの悪い顔で、彼を煽ってきた。
(図太い女だ……)
情報を引き出そうなどと、悠長なことを考えるべきではなかったのかもしれない。
やはりこの場で、剣の錆にするべきだ。
降りしきる雨に全身を濡らしたセドリックは、勢いよく剣を振り上げ――。
「がう!」
水溜りを跳ねてセドリックとニセラの間に割って入った純白の毛並みを視界に捉え、鞘を収めた。
「ニセラに興味を持ってくださるなんてぇ、すごく光栄ですぅ! 風邪を引く前に、暖かな部屋でお互い身を寄せ合って、口では言えないあれこれをしたいと、思いませんか?」
「興味ない」
「ええ~? こーんなにかわいい聖女から言い寄られてるのに、誘いを断るなんてぇ! セドリックったら、ひどーい!」
「黙れ。二度と俺の前で、聖女を騙るな。叩き斬るぞ」
「――悪逆非道な皇帝って話がほんとだったら、ニセラはとっくの昔に物言わぬ躯になっていたはずですよねぇ~?」
ニセラはまるでセドリックの弱みを握ったと言わんばかりの悪い顔で、彼を煽ってきた。
(図太い女だ……)
情報を引き出そうなどと、悠長なことを考えるべきではなかったのかもしれない。
やはりこの場で、剣の錆にするべきだ。
降りしきる雨に全身を濡らしたセドリックは、勢いよく剣を振り上げ――。
「がう!」
水溜りを跳ねてセドリックとニセラの間に割って入った純白の毛並みを視界に捉え、鞘を収めた。