聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「もし、知っていたらで、いいの……」
「私に知らぬことはありません。なんなりとお申しつけくださいませ」
「先代聖女が、好きな花を知りたくて……」
「……フリジア様。その答えは私に聞かずとも、すでにご存知のはずです」
セヌは窓の外を見つめると、フリジアへ促した。
侍女が何を伝えたいか理解した彼女は窓の施錠を解除すると、勢いよくカラカラと開いて飛び出していく。
(中庭には、色とりどりの花が咲き乱れていた……)
赤、白、黄色、紫。
青、ピンク、オレンジ――まるで7色の虹のように美しく咲き誇るフリージアの花を目にした彼女は、どれが先代の聖女にとって一番好きな花だったのだろうかと思案する。
(……これはどれも、フリージア、よね……)
自身とよく似た花弁を眺めていた彼女は、ゆっくりと振り返る。
セヌが花の名を告げなかった理由を理解したからだ。
「セヌ」
「はい。こちらに」
「どの色が……」
聞き方を変えようとした彼女の言葉が、最後まで紡がれることはなかった。
「私に知らぬことはありません。なんなりとお申しつけくださいませ」
「先代聖女が、好きな花を知りたくて……」
「……フリジア様。その答えは私に聞かずとも、すでにご存知のはずです」
セヌは窓の外を見つめると、フリジアへ促した。
侍女が何を伝えたいか理解した彼女は窓の施錠を解除すると、勢いよくカラカラと開いて飛び出していく。
(中庭には、色とりどりの花が咲き乱れていた……)
赤、白、黄色、紫。
青、ピンク、オレンジ――まるで7色の虹のように美しく咲き誇るフリージアの花を目にした彼女は、どれが先代の聖女にとって一番好きな花だったのだろうかと思案する。
(……これはどれも、フリージア、よね……)
自身とよく似た花弁を眺めていた彼女は、ゆっくりと振り返る。
セヌが花の名を告げなかった理由を理解したからだ。
「セヌ」
「はい。こちらに」
「どの色が……」
聞き方を変えようとした彼女の言葉が、最後まで紡がれることはなかった。