【Quintet】
行成と美琴は美琴が音楽大学在学中に結婚している。
『私は行成を叱責したが、美琴さんが“子どもは親の道具じゃない”と私に食ってかかった。礼儀の知らない気の強い娘だと思ったものだが、その時の美琴さんと今のお前は、よう似ている。そのすぐ後にお前が産まれたんだ』
笑って目を細めた栄吉からは先ほどまでの威圧感が消えている。行成は葉山の人間で祖父に勝てるのは沙羅だけだと言うが、それは沙羅が母親の志を受け継いでいるからなのかもしれない。
『結城くん、沙羅と星夜くんの婚約は解消するが提携の話はこのまま進めよう』
『は……? いえ、お言葉を返すようで恐縮ですが、提携の件は私としては喜ばしいことではあります。しかし婚約の話は宜しいのですか?』
年齢も力関係も栄吉より下の結城は畏縮している。普段は偉そうにしている父親の縮こまった姿を見られて星夜は気分が良かった。
『決められた相手との結婚など沙羅の言う通り古くさい。孫娘を射止めるのが誰か、見てみたくなった。楽しみじゃのう』
腹に一物もそれ以上も抱える葉山一族の当主に色恋沙汰の行方を楽しまれているのも複雑だ。でもこれで婚約の話は白紙に戻せた。
「お祖父様のお返事に安心しました。失礼ついでにもうひとつ、結城さん。星夜さんに音楽活動を続けさせてあげてください」
『沙羅さん……。いくらあなたの頼みでもそれはできない』
葉山家当主に直々に婚約破棄を言い渡された結城は機嫌が悪い。彼は沙羅の懇願をはねつけた。
『私は行成を叱責したが、美琴さんが“子どもは親の道具じゃない”と私に食ってかかった。礼儀の知らない気の強い娘だと思ったものだが、その時の美琴さんと今のお前は、よう似ている。そのすぐ後にお前が産まれたんだ』
笑って目を細めた栄吉からは先ほどまでの威圧感が消えている。行成は葉山の人間で祖父に勝てるのは沙羅だけだと言うが、それは沙羅が母親の志を受け継いでいるからなのかもしれない。
『結城くん、沙羅と星夜くんの婚約は解消するが提携の話はこのまま進めよう』
『は……? いえ、お言葉を返すようで恐縮ですが、提携の件は私としては喜ばしいことではあります。しかし婚約の話は宜しいのですか?』
年齢も力関係も栄吉より下の結城は畏縮している。普段は偉そうにしている父親の縮こまった姿を見られて星夜は気分が良かった。
『決められた相手との結婚など沙羅の言う通り古くさい。孫娘を射止めるのが誰か、見てみたくなった。楽しみじゃのう』
腹に一物もそれ以上も抱える葉山一族の当主に色恋沙汰の行方を楽しまれているのも複雑だ。でもこれで婚約の話は白紙に戻せた。
「お祖父様のお返事に安心しました。失礼ついでにもうひとつ、結城さん。星夜さんに音楽活動を続けさせてあげてください」
『沙羅さん……。いくらあなたの頼みでもそれはできない』
葉山家当主に直々に婚約破棄を言い渡された結城は機嫌が悪い。彼は沙羅の懇願をはねつけた。