【Quintet】
 幼稚園児だった沙羅よりも12歳年上の蓮は当時高校生。その頃は既に芸能界に入って俳優として活動していた。
あの時の格好いいお兄さんは今や売れっ子の人気俳優。

 映像はWonderからfull moonへ。
full moonのMVにも引き続き一ノ瀬蓮が出演、共演は若手実力派女優の富岡愛梨。

 蓮が隼人役、愛梨が美月役でひとつのカップルの出逢いと日常を描く。
ヴィンテージ家具が並ぶ彩度の低い部屋。月明かりにキスをして重なる二人の影は、官能的なのに美しいラブシーンだ。

『このMVは蓮に出てもらって正解だったな』

 画面がメイキング映像に切り替わった時に悠真の呟きが聞こえてきた。

 一ノ瀬蓮とUN-SWAYEDは同じ所属事務所。面識があってもおかしくはない。
しかし引っ掛かることがあった。

 一ノ瀬蓮はemperorベーシストの息子、沙羅はemperorギタリストの娘。あと二人のemperorメンバーにも子どもがいた。

emperorメンバーの子どもは沙羅を除いて全員が男子。
ドラムのTSUKASAの息子とは同年代で、幼稚園が同じだった。
ボーカルのKEIの息子は二人いた。


 ──“ゆうくん、こっちだよ”──
 ──“あー! カイくんがサラのリボン取ったー!”──


 やはり、“そう”なのか。
淡く甘い幼き日の思い出に登場する、ゆうくんとカイくんの正体は高園悠真と高園海斗。

こんな大切なことをどうして今まで忘れていたのだろう……。
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