【Quintet】
 女性達がお茶をしていた日陰に入って待つこと数分。こちらへ歩いてくる人影が見えた。

『……星夜』

同じ顔でも声は微妙に違う。自分よりも少し低い兄の声を聞くのは3年ぶりだ。

『久しぶり』
『よく俺がここにいるってわかったな』

 東京にいた頃は茶髪にパーマをかけていた純夜の髪は今は短く刈り上げてさっぱりした印象。肌も東京にいた頃に比べると日焼けしていた。
人のことは言えないが、チャラチャラした風体だった男の様変わりはすぐには見慣れない。
容姿が正反対の同じ顔が二つ、向き合った。

『晴の知り合いに調べてもらった。少し話せる?』
『……ああ』

 純夜はすぐそばの自販機に小銭を入れて炭酸飲料のボタンを押した。

『飲む?』

純夜が二本のペットボトルの一本を星夜に渡す。渡されたメロンソーダのペットボトルは冷たくて、焼ける暑さの中でその冷たさが気持ちよかった。
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