【Quintet】
 ガラス扉を押し開けて二人は冷房の効いた店内に入る。レディース、メンズ、加工された物、店に並ぶジーンズは様々な種類があった。

「色や形だけでも沢山あるね」
『そうだね。沙羅はこの色をよく履いてるよね。色が薄いやつ』
「うん。いつも似たようなジーンズ選んじゃう。たまには違う物も欲しいかな。……あ」

 沙羅の目に留まったのは壁にかかったインディゴブルーのジーンズ。

『そちら、外のディスプレイと同じ物ですよ』

遠目から二人を見ていた男性店員が声をかけてきた。

『このデニムはテーパードストレートと呼ばれる形で、膝から裾にかけて細くなります。女性に人気のデザインですよ。サイズはお出ししますので、ご試着されますか?』
『試着しておいで。待ってるから』

 店員と悠真に促されて沙羅は女性店員に案内されて試着室へ。ワンピースを着たままジーンズに脚を通した。

「お客様、開けてもよろしいでしょうか?」

扉の向こうで女性店員の声がした。開けた扉の前で待っていたのは女性店員と悠真だ。

『うん。よく似合う』

 ジーンズを履く沙羅を見つめていた悠真が微笑んだ。悠真の必殺技、キラキラ王子様スマイルに悩殺された女性店員の頬は赤く染まっていて、沙羅も顔が真っ赤だ。
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