【Quintet】
『そのデニム気に入った?』
「うんっ! 履いた時の脚のラインが綺麗で凄く可愛い」
『気に入ったならよかった。会計はこれでお願いします。一括で』

 側にいた男性店員に悠真がカードを渡す。女性店員は失礼しますと沙羅に声がけしてから、沙羅が履いているジーンズの裾をいじっていた。

「今のってクレジットカード? 悠真も何か買うの?」
『んー? とりあえず着替えてきなよ』

 可笑しそうに笑う悠真に首を傾げつつ、試着室に戻った沙羅は脱いだジーンズを女性店員に渡した。

確かにこのジーンズは可愛いけれど、値段は沙羅がいつも購入するジーンズよりもゼロがひとつ多い金額だった。
見た目は可愛いのに値段は可愛くない。

「あの、これ……」
「はい。こちらは裾上げで少しだけお時間いただきますね」

 裾上げのワードに目を丸くする。裾上げとはジーンズの長さを自分の脚の長さに合うように仕立て直すこと。
通常、販売店での裾上げは購入時のサービスとなる。
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