【Quintet】
 岡山旅行1日目の夜は純夜とバイトを終えた桜も同伴で、純夜のオススメの安くて美味しい海鮮丼の店で夕食となった。

 個室の座敷で和やかに食事をしていた純夜が突然、居住まいを正した。

『悠真さん達に言っておかないとって思ってたんだけど……』
『なんだよ改まって』

海鮮丼に舌鼓を打つ星夜は兄の態度の変化に眉をひそめた。

『家出る時にLARMEのCD持って来たってさっき言ったよな。桜と付き合い出してからは桜もLARMEの歌聴くようになって、すっかりLARMEのファンになっちゃったんだ』

 純夜は隣に座る桜と目を合わせた。その先を言いにくそうな純夜の表情を見た誰もが、話の内容に察しがついた。

星夜の兄の純夜も晴の友人の律も、UN-SWAYEDのインディーズ時代のLARMEを知る人間にとっては、UN-SWAYEDの正体なんて本人に確認しなくてもわかる。

『UN-SWAYEDがデビューした時に海斗の歌だってすぐにわかった。桜にもLARMEだったバンドが名前を変えてデビューしたって言っちまったんだ。だけどUN-SWAYEDは正体不明のバンドなんだろ? どんな理由でインディーズの時と名前変えたり顔も隠したりしてるかわかんねぇけど、身内以外の人間がUN-SWAYEDの正体知ってるのはマズイよなぁって……』
『桜ちゃんは俺達がUN-SWAYEDだって知ってるんだな。……悠真、どうする?』

 それまでのおちゃらけた軽さを消した星夜は悠真に話を振った。
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