【Quintet】
花音がここに来ていると知った晴はサバンナで戦うライオンのような気持ちになった。……正しくはライオン(花音)に狩りをされる哀れな小動物だ。
素早く部屋に逃げ込んでベッドに潜り込んでも無駄な抵抗。花音が寝ている男の真上に平気でダイブしてくる女であることを、晴は忘れていた。
なんとか花音を引き離して距離を保つ。彼女は晴の部屋を隅から隅まで観察していた。
「うんうん、女の影はないな?」
『沙羅と同居してるのに女連れ込むかよ』
「ふーん? 独り暮らしの時は女連れ込んでたの?」
痛いところを突かれて溜息以外に言葉が出てこない。
容姿端麗、才色兼備。性格も多少の賑やかさには目を瞑れば、明るくて気立てがいい。その気になればいくらでも男が寄ってくるだろう花音は高校時代から一途に晴だけを想い続けている。
『……なんで俺がいいの?』
「なんでかなー。晴の隣が一番私が私らしく居られるから。私は晴のために24になった今でも生娘《きむすめ》なんですからねっ。イギリス紳士にデートのお誘いされても断ったんだよ。私の処女もらってくれないと許さないから!」
『そんなこと大声で叫ぶな。まじに襲うぞ』
「ふふっ。いいよ?」
猫みたいに晴の胸元にすり寄る花音は幸せそうにはにかんでいた。
素早く部屋に逃げ込んでベッドに潜り込んでも無駄な抵抗。花音が寝ている男の真上に平気でダイブしてくる女であることを、晴は忘れていた。
なんとか花音を引き離して距離を保つ。彼女は晴の部屋を隅から隅まで観察していた。
「うんうん、女の影はないな?」
『沙羅と同居してるのに女連れ込むかよ』
「ふーん? 独り暮らしの時は女連れ込んでたの?」
痛いところを突かれて溜息以外に言葉が出てこない。
容姿端麗、才色兼備。性格も多少の賑やかさには目を瞑れば、明るくて気立てがいい。その気になればいくらでも男が寄ってくるだろう花音は高校時代から一途に晴だけを想い続けている。
『……なんで俺がいいの?』
「なんでかなー。晴の隣が一番私が私らしく居られるから。私は晴のために24になった今でも生娘《きむすめ》なんですからねっ。イギリス紳士にデートのお誘いされても断ったんだよ。私の処女もらってくれないと許さないから!」
『そんなこと大声で叫ぶな。まじに襲うぞ』
「ふふっ。いいよ?」
猫みたいに晴の胸元にすり寄る花音は幸せそうにはにかんでいた。