【Quintet】
 当然、沙羅と美月の会話は男達にも筒抜けだ。晴が苦笑した。

『隼人の女癖の悪さは酷かったよなぁ。多い時は二十人くらいセフレがいたり』
「セ、フレ……?」
『はーる。昔の話だろ』

 恋愛経験はゼロでもセフレの意味がわからないほど沙羅もウブではない。今日が初対面の隼人を見る目が変わってしまいそうで、彼女はわかりやすく隼人から目をそらした。

それに気付いた隼人は眉を下げて沙羅に詫びる。

『沙羅ちゃん、食事中に不快な話してごめんね。確かに昔は女と遊びまくってたけど今は美月だけだから。軽蔑したかな?』

 沙羅の隣にいる美月はニコニコ笑っている。目を合わせて意志疎通する美月と隼人を見ていると、恋人同士にしかわからない事情があるものだと痛感した。

「ちょっとびっくりはしましたけど……でも美月ちゃんを見ていると隼人くんが美月ちゃんを大切にしているってわかります。美月ちゃん、凄く幸せそうだもん」
『女癖悪かった隼人が美月ちゃんと付き合い始めて人格変わったみたいに美月ちゃん一筋になったんだよ』

 隼人のフォローをする悠真の話を聞いて、沙羅は美月と隼人の出逢いに興味を抱いた。女遊びをしていた隼人をそこまで惚れ込ませた美月。二人の間には何があったのだろう。
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