二人で紡ぐLOVE STORY
壮絶な過去と二人で紡ぐ幸せ
「ごめんね、光仁くん」

ある日睦月は、光仁を呼び出していた。

「どうした?」

「あのね?
…………臣吾くんのこと…」

「ん?
あー、とうとう臣吾の束縛嫌になった?」

「え?
ち、違うよ!」

「じゃあ、何だよ」

「私は臣吾くんのこと、いつも穏やかで優しくて、頭も良くて、王子様って感じの人って思ってる。
確かに愛情は重い方だけど、真っ直ぐで私には心地良い」

「王子ね…(笑)」

「うん/////
でもね…?
時々、怖い時があるの」

「………あぁ…」

「私ね、ここんとこよく声かけられることが多くなってて……
今までナンパなんて一度もなかったんだけど、ナンパもされることが多くなって、大学でも声かけられることもあるの。
この前、ちょっとガラの悪い人に声かけられて連れ去られそうになったことがあって…
すぐに臣吾くんが駆けつけてくれたの。
…………臣吾くん、怒って…
何をしたかはわからない。
男の人達を連れて何処かに行って戻ってきた時、血の臭いがしたの。
臣吾くん、私の前では“絶対怒らない”
でも、雰囲気が怖い時がある」

「………」

「………光仁くん?」

「睦月。
お前に“臣吾の過去を背負う覚悟あるの?”」

鋭い光仁の視線に、睦月は緊張したように大きく頷いた。


臣吾の亡くなった曽祖父は、ある組の組長だった。

今は解散して、その組はない。
しかしその強さと恐ろしさは、曾孫の臣吾にまで受け継がれている。

臣吾は言葉は相応しくないが、幼稚園児の頃からとにかく強かった。
更に、両親からの英才教育で勉強ばかりだった。

まるで才能のように喧嘩が強く、頭も良い。

しかし、その代わり……情があまりなかった。

負けたことがないので、人の痛みがわからない。
相手を殴って傷つけても、何とも思わなかった。

小学5年生の時。
中学生の男の子と大喧嘩をして、半殺しにしたことがある。

そのボロボロな姿を見ても、何も感じない。

しかしそんな臣吾が初めて“痛み”を感じたのも、その喧嘩が原因である。

臣吾の両親はそんな臣吾の残忍さに恐怖を覚え、臣吾を敷地内の離れに一人押し込み、隔離したのだ。

「僕、“捨てられたんだ”」

それから両親とも滅多に会わなくなり、家政婦が料理を持ってくるだけ。

高校を卒業し、大学に入り一人暮らしをするまで、臣吾はたった一人で離れに住まわせられたのだ。

この約・七年間は臣吾に、消えない傷を負わせた。


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