【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「……それは、本心か?」
涙で濡れる私の頬をそっと撫でながら、どことなく優しい声色でそう尋ねる彼に…黙って頷いてみせると、、
「そうか…それは、残念だな」
言葉では”残念だ”と言っているのに、その表情はなんだか嬉しそうに見えた。
この状況で、どうして笑えるの?…っと問いたくなったが、怒りを通り越して呆れられたかと思うと笑われても仕方がないと思えた。
「手のかかる部下ほど、可愛い…芳野が俺の教えた通りの仕事ぶりを発揮する度に、嬉しく思ったよ。無知だったお前が俺の色に染まっていくようで…悪くない日々だった」
予想していなかった発言に、思わず涙が止まった。まさかそんな風に思われていたなんて思いもしなかったからだ。
「だから、上司として…育てがいのある部下を失うことは…とても残念に思う。」
「……申し訳、ありません…部長っ、」
「ただ…上司としてではなく、一人の男として言わせてもらうと、沙奈があの会社を辞めてくれるなら…好都合だ」
「──…え…?」
突然、ガラッと雰囲気が変わったように思えたのも束の間…怪しく微笑んだ部長が着ていたスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩める姿が視界に入り思わず目を見開く。