神殺しのクロノスタシス2
緊張の場面である。

生徒達は、不安げな顔で、教師…かつての同級生…を見つめていた。

…人質にまでされたんだもんな。

そりゃ怯えるのは分かる。

しかし、ナジュは少しも臆することなく話し続けた。

「皆さんにおかれましては、『お前どの面さげてそこに立ってんだ』と思われてることと思いますが…」

…。

「こんな面で立ってます」

…言うと思った。

「皆さんを騙し、利用していたのは事実です。そんな僕が、皆さんの前に出てくることに異義のある方は、今すぐ僕を蹴っ飛ばして、この教室を出ていってもらって結構です。あ、ちゃんと単位はあげるので安心してください」

…そんなこと言われて。

出ていく生徒がいるものか。

案の定、誰も立ち上がらなかった。

「僕は皆さんを利用しました。だから今度は、皆さんが僕を利用してください」

…何?

「僕はこれでも魔導師の端くれで、ついでに学院長直々に、教師として抜擢された身なので。知識だけは無駄に豊富にあります」

無駄とか言うな、無駄とか。

必要なもんだろ。

「だから皆さんは、にこやかな顔して僕から知識を盗んで、心の中では『畜生この腐れ教師早く死ね』と思いながら、僕の授業を受けてください」

これには、生徒達もぽかーん。

潔い奴とは思ってたけど…。これほどとは…。

「あ、そうだ。大事なことを言うの忘れてました」

これ以上何を言うんだよ。

「個人的に僕に恨みのある方は、授業の後僕のところに整列してください。思いっきり腹パンさせてあげますから」

にっこりと笑う、ナジュ・アンブローシア(教師)。

…生徒に、腹パン推奨するな。

お前不死身だからって、自分の身体を安く見過ぎでは?

「あ、僕教師やるの初めてなんで、つまんな過ぎて眠くなってきたら、遠慮なく寝てください。僕は起こしませんから」

そこは起こせよ。

生徒に昼寝を推奨するな。

「それじゃあ授業始めまーす」

ナジュは、冒頭の挨拶がまるでなかったかのように、あっさりと授業を始めた。
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