神殺しのクロノスタシス2
…こんなに長く感じる、50分があっただろうか。

ナジュは、特に問題もなく授業を終わらせた。

お前、意外に教えるの上手いな。

シルナいなくて良くね?

と、思っていると。

「…あの」

授業を終えたナジュの前に、一人の生徒が立った。

あれは…ユイト・ランドルフ。

かつて…ナジュのルームメイトだった…。

「…あぁ、腹パン希望の方ですか。どうぞ、避けないので」

いや、それ本気でやるつもりなのか?

しかし、ユイトはそんなことをしたい訳ではなかった。

ただ無言で、ナジュを見つめていた。

「…恨みつらみがあるなら、どうぞ。あなたには…腹パンどころじゃ済まないくらい、申し訳ないことをしてしまったので」

「…そうじゃない、ん、です」

「別に敬語じゃなくて良いですよ。僕のことは『腐れ不死身教師』と呼んでくれたら」

不死身は良いとして、腐れは取れよ。

「…友達、だと思ってたのに」

「…そうですか」

「あれは、全部…演技で…」

「…そうですね」

否定しないのが、ナジュらしい。

なまじ人の心を読めるだけに、曖昧な言葉で濁すことをしないのだ。

「僕は、あなたが僕に友情を抱いているのを知ってました。知っていながら、僕はあなたを裏切りました」

「…」

「死んで詫びが出来るなら、いくらでも死にますけど。残念ながら、それも出来ないので…」

ナジュは、深々と頭を下げた。

「…ごめんなさい」

「…!」

「あなたの人生に、僕みたいなのが現れてごめんなさい」

「ち、ちが…そうじゃなくて」

「じゃあ、何ですか?」

ユイトが伝えたかったことは、ただ一つ。

「…演技だったとしても、半年間一緒に過ごせて…楽しかった、です」

「そうですか」

「帰ってきてくれて…良かった」

…。

どんな形であれ。

お前が帰ってくることを、望んでた者がいたんだ。

良かったな、ナジュ。

ここが、お前の居場所なんだ。
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