神殺しのクロノスタシス2
…あのな。

一応「職員会議するから集まって!」って召集かけたんだから。

何を議論するかくらいは、考えてから来いよ。

「何も問題ありませんね。じゃー僕は帰りまーす」

早速帰ろうとしているナジュ。偉い。

「ちょっと待ってナジュ君!まだ会議始まってないから!」

「だって喋ることないんでしょ?何議論するか決めてないけど、皆の顔見たら何か思い付くだろうから良いや、なんて甘い考えしてるから、こんなグダグダになるんですよ」

「うわぁぁこの子私の心読んでる!的確に読んでる!」

お前、そんな浅はかなこと考えてたのか。

俺も帰ろうかなマジで。

「分かった今考えるから。えーと、えーと」

「明日のおやつ何にしようかな~なんて、職員会議で議論することじゃないでしょ」

「読まないでよいちいち!ちょっと考えただけじゃん!」

ナジュの前に、嘘や隠し事は無意味である。

ってかお前、一瞬でも「明日のおやつを何にするか」で話し合おうと思ったのか。

ふざけ過ぎにもほどがある。

見てみろ、あのイレースの冷めきった目。

完全に軽蔑してるぞ。

「よし決めた!じゃあ、じゃあね、新米教師二人に、イレギュラーな事態に陥ったときのデモンストレーションをやってもらおう!」

それって、職員会議でわざわざやることか?

無理矢理捻り出した感が否めない。

「…新米って、私も含まれてるんですか?」

と、怪訝な顔をするイレース。

「含まれてるよ」

「…確かに、イーニシュフェルトに来たのは最近ですけど、それまではラミッドフルスで教師やってましたから、教員歴はそれなりにありますよ」

確かに。

本当の意味で新米なのは、ナジュ一人だけなのだが。

「イレースちゃんも新米なの!そうなの!そういうことにするの!」

駄々っ子か。

「デモンストレーションは良いですけど…。イレギュラーな事態って、例えばどんなことですか?」

と、尋ねるナジュ。

イレギュラーな事態…ねぇ。

「そうだな…。じゃあ、イレギュラーな事態その1!生徒が喧嘩しています!あなたならどう対処しますか!」

そんな出題形式なのか?

確かにイレギュラーではあるけれども。
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