神殺しのクロノスタシス2
エリュティアから得た情報によると。

校舎内に侵入した暗殺者は、これで全員倒したことになる。

ならば、次に向かうべきは一つ。

最も危険が多いであろう、学生寮だ。

案の定、学生寮は複数人の暗殺者と、交戦状態にあった。

学生寮を守っているのは、三人。

そのうちの一人は、出来れば顔を合わせたくない読心野郎、ことルーチェス・ナジュ・アンブローシア。

残る二人は、見覚えがない。

多分、聖魔騎士団から派遣された魔導師だろう。

だが、気になるのは、彼らの戦い方だった。

あれは、一体どういう状態なんだ?

学生寮の前に、一人の女性魔導師が立っている。

杖は持っているものの、微動だにしていない。

魔法を使っているのか?それとも、使っていないのか?

術式を展開している最中なのだろうか?

邪魔して良い状態じゃないのは分かる。

だが、その女性の周囲で、ナジュともう一人の魔導師が、縦横無尽に戦闘を繰り広げている。

それだけに、微動だにしない女性が異様に見える。

ともかく、僕も加勢しなくては。

僕は、ナジュに襲い掛かろうとしていた暗殺者の首を跳ねた。

「あれ、来たんですか。屋根裏に潜んでて良かったんですよ」

「じっとしてられない」

「堪え性ないなぁ」

「うるさい」

それよりも、気になるのは。

「あの人、何やってるの?」

学生寮の前で、じっとして立ってる女性魔導師は。

ただ静観しているだけではないだろう。

「あぁ、あれ幻覚見せてるんですよ」

「幻覚…!?」

今、さらっと、とんでもないこと言わなかったか?
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