あの場所へ
Ⅹ.七海へ

1.記憶

七海が倒れたあの日は,

忘れたくても忘れられない。


図書室の冷たい床の上で,

微動だにせずに倒れている七海の姿が

俺の脳裏に刻まれて,

記憶の中から今でも消えてくれない。




俺は携帯をだして時間を確かめた。

一人立ち上がると,

もう一度空を見上げた。

ちょうど大きな流星が頭上を横切った。



星の流れた跡が
いつまでも輝いているようだった。


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