花隠し


村の情報伝播は早いから、琉平だって実里のことについてはとっくに聞いているはずだ。



それなのに、一度も口には出さない。



きっと私への気遣いだ。



実里の件について心身がボロボロになっている私をこれ以上傷つけないために、あえていつも通りのテンションで接してくれている。



本当に優しい男だと思う。



この村の人間にもかかわらず、因習を拒んで怪我を負った私を自業自得と笑わないのだから。



私も私で、あのときなにもできなかった罪悪感で悪夢を頻繁に見るようになった。



発狂した実里と、引きずられていく実里のお母さんをただ眺めているだけの夢。



目が覚める前に必ずふたりに言われるんだ



『おまえのせいだ』



と。



そのせいで眠りの質も悪く、寝ても寝ても寝不足が続いている状況。



指先ひとつ動かすのに時間がかかる私が、それでも起きようと思えるのは、琉平が来てくれる夕方くらいだ。



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