国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「ニーナに会った」
「それで?」
「断られた! 見れば分かるだろう!? 協力する気は全くないらしい。その上あの瘴気の浄化方法を見つけ、ルティシアが用意したものだと勘づいていたんだ! どういうことだ!? 話が違うじゃないか!」
「ほほぉ、流石は先代聖女様。ご立派ですな。……ははは。殿下、落ち着いてください。睨まなくても分かっていますよ」
アレクサンドロスが怒りをぶつけても、大司教はへらりと笑うだけだ。
(こいつのせいだ! こいつがセレンテーゼに瘴気を発生させられるとか言うからっ……!)
「セレンテーゼに瘴気を発生させれば、向こうは縋り付いて来るんじゃなかったのか? そうしたら聖女の力をエサにしてニーナを連れ戻せると! 全部元通りだと! そう言ったじゃないか!」
アレクサンドロスは、今にも大司教に殴りかかりそうな勢いだ。
それなのに大司教は笑みを崩すことはない。
「そう思ったんですけどねぇ。なぜ帝国はルティシアを頼らなかったのでしょう? 普通は瘴気だと分かれば、浄化方法を探す前にルティシアを頼るでしょう?」
「ニーナが皇帝に何か吹き込んだってことか!? あいつ、聖女の力を失ったくせに……!」
アレクサンドロスが爪を噛むと、強すぎたせいで指先から血が滲む。
今や、こんなかすり傷すら治せる者はいなかった。
「それで?」
「断られた! 見れば分かるだろう!? 協力する気は全くないらしい。その上あの瘴気の浄化方法を見つけ、ルティシアが用意したものだと勘づいていたんだ! どういうことだ!? 話が違うじゃないか!」
「ほほぉ、流石は先代聖女様。ご立派ですな。……ははは。殿下、落ち着いてください。睨まなくても分かっていますよ」
アレクサンドロスが怒りをぶつけても、大司教はへらりと笑うだけだ。
(こいつのせいだ! こいつがセレンテーゼに瘴気を発生させられるとか言うからっ……!)
「セレンテーゼに瘴気を発生させれば、向こうは縋り付いて来るんじゃなかったのか? そうしたら聖女の力をエサにしてニーナを連れ戻せると! 全部元通りだと! そう言ったじゃないか!」
アレクサンドロスは、今にも大司教に殴りかかりそうな勢いだ。
それなのに大司教は笑みを崩すことはない。
「そう思ったんですけどねぇ。なぜ帝国はルティシアを頼らなかったのでしょう? 普通は瘴気だと分かれば、浄化方法を探す前にルティシアを頼るでしょう?」
「ニーナが皇帝に何か吹き込んだってことか!? あいつ、聖女の力を失ったくせに……!」
アレクサンドロスが爪を噛むと、強すぎたせいで指先から血が滲む。
今や、こんなかすり傷すら治せる者はいなかった。