国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
ニーナとフェルディナンドは部屋を退出すると、すぐに薬草庫へ向かった。

「ニガナシ草の数量の確認を。似たような効能の薬草も」
「そうね。どのくらい必要になるか……」

ニーナは震える手で薬草の残量を確認していく。

(これがルティシアからの攻撃だとしたら……私のせいだ……)

ニーナの手から薬草が落ちた。
手に力が入らなくなっていたのだ。

それに気づいたフェルディナンドは、ニーナの手の上に自分の手を重ねた。

「ねぇニーナ、もしかして自分のせいだって思ってる? だとしたら、それは間違いだよ」
「でもっ……! あの女性が苦しんでいるのは事実でしょう? 私がアレクサンドロス殿下を挑発したせいだわ」
「彼の仕業なのだとしたら、100%彼のせいだ」

フェルディナンドはそう断言してくれたが、ニーナの心は晴れない。

「とにかく今は対策を考えよう。あの症状を見るに、この街はすでに瘴気に覆われてるのかもしれないからね」
「そんな! 匂いもしなかったのに……」
「ルティシアが瘴気をある程度操れるなら、匂いくらい消せるのかも」

フェルディナンドの言葉に、ニーナはさらに心が重たくなっていった。

(もし街中の人が瘴気の被害に合っていたら……)

嫌な想像ばかりがニーナの頭を支配する。

その時、薬草庫の扉がノックされた。



< 134 / 175 >

この作品をシェア

pagetop