国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
気がついたら日が傾きかけていた。

フェルディナンドと話すのは思いのほか楽しく、すっかり話し込んでしまったのだ。

「そういえば、ニーナは身体に異常はないの? 200年もその姿でいたのなら、力を失った時に反動とかありそうなものだけど。どこか辛いところはない?」
「今のところは大丈夫よ。不老不死がどうなったかは、死んでみないと確かめようがないけどね」

心配そうにしていたフェルディナンドだったが、ニーナの『不老不死』という言葉に目を細めた。
やはり賢者という職業柄、不思議な現象に興味があるのかもしれない。

「本当に聖女の力というのは不思議だ。浄化や結界だけでなく、寿命をも捻じ曲げる」

捻じ曲げる。ニーナにはその表現がしっくり来た。
本来あったはずの寿命が消え去ってしまったのだから。

「他人の寿命は変えられないのに、おかしな力よね。結局すべての人は助けられないし……」
「でも助かった人もいるでしょう? ほら、そんな暗い顔をしないで……。あのね、ニーナは知らないかもしれないけど、人生ってものすごく短いんだよ? 落ち込んでいたら勿体ない」

暗くなりかけていたニーナに、フェルディナンドのからりとした声が降り注ぐ。
ニーナは自然と口角を上げた。

「そうね。ありがとう、師匠!」
「師匠は止めて。弟子にした覚えはないし、元聖女の師匠だなんて荷が重い」
「えぇー。じゃあ、なんと呼べば?」
「名前で。フェルで構わないよ」
「じゃあフェル、今日はもう遅いので失礼するわ。明日からまた色々教えてください!」

そろそろ今日の宿を探さなくてはならない。
ニーナが帰ろうとすると、フェルディナンドに腕を掴まれた。


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