国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
フェルディナンドは呆れているような怒っているような声をしていた。
男は気にする様子もなく、フェルディナンドにひらひらと手を振る。

フードを脱いだ男は、綺麗な金髪をしていた。

「久しぶりだね」
「何の用ですか?」

フェルディナンドのそっけない態度に男は苦笑した。

「せっかく兄が会いに来たというのに……つれないなあ」

その言葉にニーナは口を押えた。
驚き過ぎて大声が出てしまいそうだったのだ。

(あ、兄ですって!? この人が?)

まじまじと二人のやり取りを見つめていると、フェルディナンドが振り向いてニーナに手招きした。

「驚かせて申し訳ない。この人は……僕の兄なんだ」
「あのっ、ニーナ・バイエルンです。先ほどは失礼しました!」

慌てて頭を下げると、フェルディナンドの兄は先ほどと変わらずにこやかな笑顔で頷いた。

確かに髪色こそ違うが、瞳はフェルディナンドと同じダークブルーだ。

「マーティス・ フォン ・ブルグントです。よろしく」
「え? ブ、ブルグント……?」

マーティスの言葉に、ニーナは目を見開いた。

首をかしげるマーティスと気まずそうに目を逸らすフェルディナンドを交互に見る。


そしてニーナは確信した。

(この人……皇太子じゃないの!)





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