国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「ニーナちゃんを追放した時に新しい聖女が誕生しただろう? フェルディナンドはアレについてどう思う?」

(アレって……私を嵌めた男爵令嬢ね。マリアとかいう名前だったかしら)

ニーナは自分から力を奪って聖女になった彼女のことを思い出す。
思い出すと言っても、顔と名前、力を奪われた時の会話くらいしかないが。

(彼女は自分の地位を固めたいだけだから、そんなに変なことをするとは思えないけど……)

と一瞬頭をかすめたが、ニーナは黙っていた。

そもそも彼女に自分の常識は通用しない。それを痛感していたから。

「かなり異質な存在だし、大賢者であるフェルディナンドの意見を聞かせてくれ」

マーティスの口調はかなり重々しくかった。

どうらや二人はルティシアの聖女交代を重く受け止めているようだった。
フェルディナンドもしばらく熟考してから、ようやく口を開いた。

「アレは異例中の異例です。聖女の力を浄化以外に利用する可能性もあるでしょう。その矛先がこちらに向かないとも限らない。ですが、こちらから下手に動くと刺激しかねません。今はとにかく動向を注視すべきでしょうね」

フェルディナンドの意見にマーティスは頷きながらも深いため息を吐いた。

「同意見だ。お父様にもそう伝えよう」
「お願いします」

その後、重苦しい空気を換えるかのようにマーティスは色んな話をしてくれた。
国内の政治情勢からパーティーで仕入れたゴシップネタまで。

多種多様な話を聞いたり、ニーナも会話に参加したりした。


マーティスは話がとても上手く、ふと気がつくと日が暮れていた。




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