国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
目の前の三人はニーナのことを興味深そうに見た。
先ほど断ったのに、あっさり受け入れたからだろう。
「何でも申してみよ」
「では……瘴気発生源の探索に、私も入れてください」
「なるほど、そうきたか」
皇帝は実に面白そうな笑みを浮かべた。
「先ほど伺ったお話が気になりまして。もし聖女が瘴気を浄化していないのなら、今回の水質汚染の原因にも繋がるかと」
ニーナは新聖女の活動には興味はないが、この国に弊害があるなら解決したかった。
「それなら俺が指揮を執るから、一緒に来ると良い」
マーティスの朗らかな声がした。
彼の方を見ると、その後ろにいつの間にかヤンが控えていることに気がついた。
先ほどまでとは雰囲気がまるで違う。ヤン真剣な面持ちでマーティスに何かを耳打ちした。
マーティスは少し怪訝そうな顔をして頷いている。
けれど、ニーナと目が合うと柔らかな表情になり、パチっとウインクをした。
(マーティス様は、いつものマーティス様みたい)
「よろしくお願いいたします」
ニーナは微笑みながら深く頭を下げた。
それを見ていた皇帝は、玉座からゆったりと立ち上がる。
「さて、ニーナ・バイエルン、本日のことは他言無用だ」
「はい、承知しております」
「ではマーティスに瘴気探索を正式に命じよう。ルティシア情勢の観察も引き続き進めておくように。フェルディナンドは瘴気解消の策を考えよ」
「「仰せのままに」」