国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「それは石英っていう石だ。水晶の仲間だよ。まあ水晶よりも透明度は下がるけどね。このサイズならどこにでも落ちているよ」
「石英……水晶と同じ成分ですよね?」
「あ、やっぱり知ってたんだ。石英で毒素を抜くという古代の書物を見つけたから、瘴気にも効果があるかもしれないって思ってね。効果が小さすぎて実用には向かないけれど、手がかりになりそうだろう?」

その時、ニーナは何かが引っかかった。

(石英……水晶……瘴気……。何か繋がりそう。何か大切なことを見落としているわ)

「私、もう一度日記を確認してくるわ! 見逃している情報があるかもしれない。何か……忘れている気がするの!」

そう言い放って急いで自室に戻る。

(石英や水晶が瘴気に効果があるってことは……)

自分の日記を一から読み直し、手がかりを探し求める。

せっかくフェルディナンドが探し出した希望の光を消したくはない。
200年分の記録を辿りながら、ニーナは夢中でヒントを求めた。

(確か、昔そんな話を聞いた気がするんだけど……いつだったかしら。もう少しで思い出せそう!)

気がつくと、ニーナはすっかりやる気を取り戻していたのだった。



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