俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
杏華堂から歩いてすぐの場所にあるカフェでは、見るからに上質だとわかるスーツを着た男性や、華やかながらも上品な装いがよく似合う、それでいて仕事もバリバリこなしそうな女性たちが食事を楽しんでいる。

これは超一流企業がズラリと本社を構えるオフィス街ならで光景なのかもしれない。

里穂は自身の服装をチラリと眺め、肩を落とした。

さすがに店に出ている時のようにジーンズにポロシャツではないが、雫に勧められて買った、リネン素材のあっさりとしたデザインのワンピース。

白地に淡い紫の花柄が気に入っているが、店内にいる華やかな女性たちと比べると、野暮ったく見えて仕方がない。

おまけに色鮮やかなハイヒールが店内を闊歩している中、里穂の足元は白のバレエシューズ。

歩きやすくて重宝しているとはいえオフィス街には馴染まない気がする。

次に蒼真と待ち合わせる機会があれば、雫にアドバイスをもらってこの場にふさわしい装いを意識しよう。

里穂はそう心に決め、アイスコーヒーを口に運んだ。

その時、ひとりの男性がカフェに飛び込んできた。

よほど急いで来たのか肩を上下させ荒い呼吸を繰り返しているのが遠目でもわかる。

恰幅がいい存在感のある身体に、仕立てのよさそうなグレーのスーツ。この辺りの一流企業の取締役という雰囲気だ。

誰かを捜しているのか、店内をキョロキョロと見回している。

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