俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「いや、いまさらだな。とにかく不安にならなくていい、大丈夫だ。麗美さんのことは俺がちゃんとしておくから、こんなに震えるほど怖がらなくていい」

蒼真は里穂に言い聞かせると里穂をさらに強く抱きしめた。

「あれだけハッキリ言っておいたから大丈夫だと思うが、常務と麗美さんには改めて釘を刺しておく。それでもなにかあったらすぐに言ってくれ」

「蒼真さん……ち、違う」

里穂は慌てて顔を上げようとするが、途端に胸に押しつけられてなにも言えなくなる。

里穂が震えているのは、麗美への恐怖や不安のせいではなく、蒼真に気持ちを伝えようとした武者震いのようなもの。

単に感情が高ぶっているだけだ。

蒼真は完全に誤解している。

「里穂が心配でたまらないんだ」 

しぼりだすような蒼真の声が切なくて、里穂も蒼真の身体を思い切り抱きしめた。
 
パジャマ越しに重なる互いの体温がもどかしすぎる。

もっと近くに、そして直接蒼真を感じたい。
 
里穂は蒼真の腕の力がわずかに緩んだタイミングで顔を上げ、想いを伝えようと口を開いた。
 
蒼真が好きだと伝えたい。

「里穂?」

 
気のせいか蒼真の瞳が熱を帯びているように見えて、里穂の身体が一瞬で熱くなった。

もしかしたら、蒼真も今、里穂と同じ気持ちかもしれない。そんな淡い期待が胸に広がっていく。

けれど恋愛経験ゼロというハンディはやはり大きい。

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