俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「まあいいわ。姉は相続放棄を済ませて二度と日本に戻らないらしいから、最初からいなかったと思うことにする」

麗美はそこで一度口を閉じると、ポケットから名刺を取り出しカウンターの上に置いた。

「社長夫人より社長の方がカッコいいって気づいたのよ。言っておくけど、私薬学部の院を出てるの。クレバーな美人社長って最高。いつか杏華堂が取引をしたいって頭を下げるくらいに会社を大きくするって決めたの。でも、その時はバッサリ切ってやる。今から楽しみ」

言いたいことを言って気が済んだのか、麗美は最後に蒼真と里穂を睨みつけたあと店を出て行った。

「さあさあ、おいしい豚汁が温まりましたよー」

カウンターの向こうから、恭太郞の呑気な声が聞こえてきた。

「あ……ありがとう」

脳天気な恭太郞の声に、緊張していた身体から力が抜けていく。

麗美が抱える苦しみを多少知ったとしても、あの刺々しい物腰にはこの先も慣れそうにない。

「エスディー製薬代表取締役副社長」

麗美がカウンターの上に残した名刺を手に、蒼真がつぶやいた。

「副社長?」

名刺を見ると、確かにそう書かれている。

「社長が無理矢理役職をつけて入社させたらしい。沙耶香みたいに逃げ出せないように手を打ったってことだな」

「いいんじゃないか? クレバーな美人社長を目指してるみたいだし、彼女なら早々になってそうだし」

「それはそうかも」
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