俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
恭太郞の言葉に、里穂はうなずいた。
これまでと違うあっさりとしたメイクと落ち着いた色合いのパンツスーツ。
髪もばっさり切っていて、すべてオフィスにぴったりの装いだった。
それもしっくりと彼女に馴染んでいて、よく似合っていた。
彼女が自分の状況を受け入れて仕事に取り組んでいるということかもしれない。
「彼女、噂だとかなり頑張ってるらしい。営業でもかなり結果を出していて新規開拓も効率よくやってるらしい。そのうち本当にうちが頭を下げることになるかもな」
「それはどうかなー」
料理をカウンターに並べながら、恭太郞が声を挟む。
「エスディー製薬から仕入れていた原料、金森化学から仕入れることになったんだろ? 業界トップのそっちの方が安定してるしなにより質もいいし。エスディーが復活するのは相当むずかしいな、うん」
「それってお姉ちゃんのお手柄だしね」
雫の言葉に恭太郞が「そうそう」と大袈裟に相づちを打っている。
「私のお手柄じゃないわよ。たまたま縁があっただけでしょう?」
里穂は慌てて否定する。
そのことに関しては、蒼真だけでなく蒼真の父にも必要以上に感謝されていて居心地が悪い。
詳しい事情は聞いていないが、杏華堂は現在化粧品原料の調達先の見直しを行っていて、これまでエスディー製薬一社が独占していた原材料についても別の調達を探していた。