エリートなあなた
“能ある鷹は爪を隠す”というけれど、誰よりも松岡さんにピッタリな言葉だ。
テキトーでお茶目な性格をしているのに、じつは構造課のエースなんだから…。
暫くしてタクシーが停車したのは、夜こそ賑わう六本木の大通りを一本入った路地。
その道から徒歩で狭い道を曲がったところに、目的のお洒落なダイニングバーがあった。
ここにすっぽん料理があるのか、と疑わしくなる佇まいのお店へ2人で入ることに。
洋風建築の外見とは裏腹に、店内は板前さんが立つカウンターも構えた割烹料理店。
そんなギャップに感嘆する私を連れて、女将さんは奥座敷の個室へ案内してくれた。
「嬉しい…!畳すきなんですよー!」
掘りごたつ式の部屋は畳の香りに包まれる。その部屋にもまた大興奮してしまう。
「ハハッ、畳だけで喜んでくれるとはねぇ」
「自分の部屋も畳のスペースを作って貰ったくらいですから」
「へえ、日本人の鏡じゃん」
「ただのマニアです、」
靴を脱いで部屋へ入った私たち。手前側に私が、そして奥に松岡さんが落ち着いた。