エリートなあなた
“この関係は内緒でも大丈夫――俺たちは崩れないよ。
今までと変わらずに、毎日をこなしていけば良いから”
――あれからこの言葉がリフレインするのはきっと、自分への戒めかもしれない。
好きな彼とのナイショの関係なんて、やっぱりイヤなのが本音。
それでも気持ちさえあれば大丈夫だ、と言い聞かせるために。
ずっと前からダークグレイの瞳に堕ちている私は、何にも逆らうことが出来なかったもの…。
「――検査結果から、2点のうち精度の安定する本品でどうかと」
バタバタ奔走していると、毎日が走馬灯のように過ぎていく。
今週明けからずっと取り組んでいたのは、松岡さんの案件のひとつ。
それが本日――金曜日にようやく完成し、今はリーダーである彼に提示しているところだ。
手にした小さなネジのサンプルを手渡すと、「ちいせぇー」と顔をしかめる松岡さん。