エリートなあなた
もう一方のサンプル品も顕微鏡で交互にチェックし、暫くして視線をこちらへ戻した。
「うん、真帆ちゃんの意見に賛成ー。
もう一方って耐久テストの点数は高いけど精度は低いし、何より工程が多すぎるもん。
ロット数が増えた時にメンドウだって文句出るよ。俺もメンドウ嫌いだしー」
「はい、ありがとうございます!」
「あー、目がシバシバする…」
大きな欠伸をしながら、サンプル品入りの小箱を私の机へ置いた松岡さん。
今日は研究室にこもっていたため、ポロシャツの上から白衣を羽織った爽やかな姿だ。
ほっと一息つく時間もなく、私も隣席でPCを開いて正式な報告書の作成に入った。
今回の案件で完成したネジは、小指の腹に乗せてもまだ小さい。
これは医療機器メーカーが開発中の機械で、軸となる箇所に使用されるそうだ。
医療機器は人体へ使用する物であるため、部品ひとつをとっても高品質であることが大前提。
そのため何度も頭を抱えたくらい、打合せや設計など初期段階からトラブルが頻発した。