エリートなあなた
初めてのひとりきでの打合せ。上手く出来るかドキドキしながら訪れた私を、一気に幻滅させたのがその課長だった。
「吉川さんって綺麗だよねー。ウチの部署にこんな綺麗な子いたら、めちゃくちゃ仕事する気出るのになぁ。
あ、ちなみに彼氏っているの?なんなら軽く遊ばない?」
電話やメールでは注文をうるさくつけていたクセに。こちらへやって来ると決まって、私の隣に座ってみたり、下心見え見えの口説き方をしたり。
資料を渡す時は決まって手に触れられて、挙句の果てには肩を抱かれたこともあった。
異性に触れられて、悪寒が走ったのは正直初めて。どれもが時代錯誤とも言える、完璧なセクハラだった。
瑞穂の傍で色んな男の人を見てきたから、そういう洞察力は割と敏感な方である。
もちろんよくからかいを受けるとしても、松岡さんのお遊びとはまったく別物。
そこに下心がある・なしで、スキンシップの意味合いが変わってしまうから。
さすがに「いい腰してるね」なんて言われた時は、我慢ならなくて手が出そうになった。
それでもグッと堪えたのは、事を荒立てた時に不利になるのは私だと分かっていたため。