エリートなあなた
当社の技術力を賭けた難しい依頼品。揉めながらもチームで頑張って来た話が、ここで情けない理由で流れるのが絶対に嫌だった。
能力を信じてくれた修平さんや、信頼して任せてくれた松岡さん。
彼らのことを裏切るような気までして、手出しはおろか口を噤む外なかった。
だから今までの経緯は、自分の胸に留めておくと心に固く誓っている――
「…真帆ちゃんどした?」
思い耽っていた私を心配したのか、顔を覗いて尋ねてくる松岡さんに笑顔を見せた。
本当はビクビクしていたりもするけど、怯えている方が天敵に屈したようで嫌だ。
それに今日はひとりじゃない。松岡さんが隣にいるから大丈夫。
今まで皆で頑張ってきたすべてを卑劣な行為に負けて、無にしたくないもの。
それが少なからず、修平さんの力になると思えばなおさらだ――