エリートなあなた
その目は言葉を失わせるほど、ダークグレイの瞳から鋭く光を放っている。
さすがの私でも凍てつくほどの冷ややかな視線に、一切の温かみのない表情。
「あ…!課長すみません、今すぐ!」
「――今すぐ?14時と宣言していたのは誰だ?」
仕事モードな彼の逆鱗に触れてまで、対抗しようとする人はここにはいない…。
すぐに逸らされた視線に私も視線を移す。続けざまに、斜め向かいでバタバタ音を立て始めた席を見た。
「すっ、すみませんでした…!」
やはり大野さんも課長の威圧感たっぷりな声音に、完璧な白旗を振っている1人。
先ほどまでの独壇場はなりを潜めて、慌てふためきながら仕事を再開している。
ついチラッと一瞥してみると、既にいつも通りに書類へ目を通して平然としていた課長。
援護してくれたと勘違いしても良い?――内心への問いかけに自らすぐ肯定してしまう。
たとえ表情に出ていなくても、…それが修平さんの優しさだって知ってるから。
「それでは、お先に失礼します」
「お疲れー」
「あ~、お疲れ!」
ちらほらかかる声の中に混ざった大野さん。しかし、PCに夢中な視線が上がることはもうない。
空気を読めない人も助かる時もあったり…?――苦笑しながら私は試作部をあとにした。