エリートなあなた
彼は私の返事を聞いてもなお、平然と変わらぬトーンで話し始めた。
「ただ真帆が入社してしばらくの頃に、部長と構造課の新設に着手し始めたんだ。
当時の部署の欠点と感じていた問題を強みへ変えるために、構造課が試作部をけん引していこうとね…。
――ただし俺は、時を同じくして本社へ呼ばれていた。…もっと波に揉まれろというお達しだったよ」
自嘲しながら言葉を止めた修平さんは、枯れ葉が木に止まりながら揺れる姿を目で追っていた。
SJ本社の試作部といえば――世界中にある支社から選出された、エリートばかりが集うところ。
本社から日本支社へお呼びが掛かるのは、数年に1人のこともあったと聞いている…。
その本社からお呼びがかかった彼は、有能な方々に実力を認められているということだ。
「但し、俺はそこで反発したんだ」
「…えっ?」
形の良い唇が紡いだとんでもない事実に、私の口からは驚きの声が漏れた。
「どうした?」
「い、いえ…!」
こちらへ向き直ったダークグレイの瞳に捉えられ、慌てて頭を振ってしまう。