エリートなあなた
向き合いながら骨ばった長い指先が、ぽろぽろ零れ落ちる涙を拭ってくれる。
「なぁ、真帆、…俺達の関係が秘密な理由は覚えているか?」
彼の瞳から目を逸らせず、ただコクンと首を縦に振っただけ。
「構造課へ真帆を異動させた時――上層部から反発を受けていたのは事実だ。
試作部への異動は前にも言ったように、そう容易いものではないからね」
「うん…、絵美さんからもあれから少し聞きました」
ようやく泣き止んだ私の頭を撫でる彼に、もう大丈夫だと小さく笑ってみせた。
ちなみに試作部は、一定の成果を収めた者か一流大出身の優秀者ばかりが在籍している。
飛び込んでみて実感したけれど、まさにエリート揃いで肩を並べる空間なのだ。
「だから…真帆を試作部へ配置させたいと嘆願した時――
誰とは言わないが、…上層部の人間にはひどく反対されたよ。
直接言うのは酷かもしれないけど、…美人の彼女にはただの華でいて貰えばそれでいい。
大体、在学中に何の功績も残していない彼女に、男揃いの試作部で何が出来るという?
――そう、ハッキリと言われて抵抗されたからね…」
「そ・・んな・・」
せっかく乾き始めた頬はまた濡れ、衝撃的な言葉を紡いだ修平こそ苦悶の顔をしている。