エリートなあなた
入社後はバリバリ働きたいと思っていた。だけどそんな希望は、あまりに儚いもので。
会社からは能力も何も必要とされてなかった事実は、さすがに胸が痛くて仕方ない。
揺らぎ始めた視界を閉じると、涙が頬をツーっと伝っていく。
「だけど俺は、真帆の働きぶりを見ていたから、秘書課で終わらせるのは勿体ないと思った。
もちろんどの仕事も、会社にとっては欠かせない大切な業務だけどね。
頭の回転の速さと推察能力は、やっぱり試作部で戦力になると直感したんだよなぁ。
それで真帆を異動させる代わりに、上層部と“条件”を取り決めたんだ」
「…ん、で?」
「2年以内に必ず、構造課は成績に準ずる何かを確立すること。
異動した真帆が、何かしらの功績を上げること。
そして2年を経過した時、俺は潔く本社へ向かうことってね?」
「ど、して、ほん、しゃ…?」
思考回路ストップした状況で、言葉が上手く出て来ないもどかしさが襲う。
泣きじゃくる私の頭を撫でてくれる手に、今さらながら痛感させられた。
この手がずっと守っていてくれたのだと。この手こそが、“一番の味方”だったのだと。