エリートなあなた
傍で日々に励む修平さんを支えにして、バタバタ毎日が過ぎていたのに。
自分のことしか考えられなくても、…この幸せを知った今は独りで生きられない――
「腕で良いの?」
運転席側へ身を寄せて、彼の腕を離さないと言わんばかりに掴んでいると。頭上から降って来たのは心地の良い大好きな声色であった。
「おいで?ほら、」
「…ひ、…く、」
力を解いたところで身体を助手席側へ向けた彼は、両腕を広げて笑顔もプラスしてくる。
――それに抗う力なんてない。広くて厚い胸へと縋りついてしまうだけだ。
「真帆…、大丈夫だから。そんなに自分を悪者に仕立てないで欲しい…。
大丈夫――真帆には、誇りとなるものがたくさんあるだろう?
毎日頑張ってきた仕事があるし、支えてくれる仲間だっている。
それに俺たちなら、離れていようが揺るがない関係だろ?違う?
たとえ過ごした時間は短くても 内緒のままずっと過ごせた自信もある。
そもそも真帆をこんなに愛してるヤツがいる時点で、ひとりじゃないでしょ?
大丈夫、…真帆は大丈夫だよ――」
「うぅー…っ」
頭上から聞こえる優しく諭す声に、これ以上に反対する術は見つからなかった。