エリートなあなた
すると、自身のデスクへ戻ってマジックを持った彼女。今度は、“打倒・試作部!”と紙一面に書いた。
それをデスク脇にある、小さなシュレッダーの差し込み口へ。音を立てて粉砕されるその紙を見送る表情は、素晴らしいほどの眼力だ。
幾分スッキリしたのか、口元を緩めてニヤリと笑った。…行ないは小さいけれど、イライラは消化された模様。
――美人が怒ると迫力度満点なのは事実。…実際、私の身近にいるから納得だ。
「え、絵美さーん!箱の中のファイル類、すべて保管室へ戻しますね?」
「あ、うん。よろしくー」
使用済みのファイルが入った、抱えられるサイズの箱を持ち上げた。両手で支えながら、ひとりで秘書室を退出する。