エリートなあなた


再び動き始めたエレベーター。機内のデジタル表示を見るフリをして、つい目を逸らす。



鋭い視線を前方から感じて、早く地上へ到着しないかとそわそわしていた。



ようやく停止した機体を続々と人が降りていき、私は些かホッとしながら出る。



すると、出口すぐのところで待ち構えていた阿野さん。対峙した瞬間、パシン!と頬に鋭い痛みが走った。


「ッ、」


パンプスを履いた足はふらつき、目はチカチカと閃光が走ったようだった。



エントランス付近に居合わせた、周囲のざわつきを気にする余裕は当然ない。



いま何が起きたのかもよく分からないまま、ひりひり痛む頬を押さえる。呆然と立ち尽くす私は、なお睨んでくる視線を受け止めるだけ。


そうして悪びれた様子も見せずに腕を組む彼女と、ただ向き合っていた。



「アナタって本当に、男に取り入るのが上手いのね。

秘書課から試作部って何なの?私のこと、どこまでバカにしたいわけ?」


「…どういう、」


口を開いたかと思えば、まったく身に覚えのない言葉を冷たい声で投げられる。



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