エリートなあなた
その間にも自席へ戻っていた黒岩課長。パン、と乾いた手を叩く音をひとつ立てた。
「――今日から気を新たに、構造課としてよろしくお願いします。
まずは今後のスケジュールについて、一気に説明させて貰いますが…」
課全体を見渡しながら話しているのは、もちろん課長であった。
彼の様子を窺いながら手帳を取り出すと、ペンを握った手に力がこもる。
一斉にペンを走らせるメンバーと同じく、今は一言一句を逃さないことに必死。
耳にしたことのある企業名、聞き慣れない専門用語。どれもが緊張の糸を絡めていた。
「――今日から各自、指示した案件のリーダーとなってすべて受け持って貰います。
そして、吉川さん」
「は、はい!」
話を中座させる呼びかけに返した声は、ドキドキした心情が表れていた。
「吉川さんは松岡係長のアシスタントに回って貰うよ」
「か、かしこまりました」
ダークグレイの瞳を持つ上司の雄弁さで圧倒されながら、いよいよ構造課は始まった…。