エリートなあなた
「――以上、」と端的に話を締めた課長。それに続いて課員は、デスクチェアから一斉に立ち上がった。
白衣を着ながら課に隣接した研究ルームへ行く人。携帯を片手に別の課へ向かった人。
すっかり閑散としてしまった課の中で、残っているのは私と隣の松岡さんだけである。
右も左も分からない私には、デスクに片肘をついてじーっとこちらを見て来る彼だけが救い。
「さて、今日からよろしくねー」
「あ、恐れ入ります。よろしくお願いいたします」
うんうん、とニコニコ笑ってくれる。戦場と化した部署には、不釣り合いなほどに。
おもむろに立ち上がった彼が、私が握ったままのペンを取る。
呆気に取られているところに間髪入れず、びっしりメモした手帳も閉じてしまった。
「よし真帆ちゃん、行こうか」
「…えっ、ま、」
そのうえ手首を取られて、一気にデスクチェアから立ち上がらされる。