無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
 玄関口に立つその人の姿を見た瞬間、由惟は目を見開いた。

「真紘、さん……?」

 スーツ姿の真紘が玄関口に立っていた。
 由惟は真っ先に自分の目を疑った。日本にいるはずないのに、どうして。
 しかし視線の先にいるのは間違いなく真紘だった。見間違えるなんてありえない。

 もしかして助けに来てくれた?そんな楽観的な考えが頭に浮かんだ直後、自ら否定をする。由惟がこの家にいることを真紘は知らない。
 だから理由はわからない。それでも混乱しながら、由惟は衝動的に窓を開けていた。二階の窓は、横井たちも外に出られないと踏んでか、鍵はかけられていなかった。

「真紘さん……!」

 嫌われていてもいい。もう一度だけ真紘に会って、謝りたかった。
 窓から身を乗り出して、声を張り上げる。久しぶりの外の空気。風が冷たい。

 由惟の声に反応した真紘は即座に顔を上げた。視線が重なる。真紘は驚いたように目を瞠っていた。由惟の眦から自然と涙が溢れる。

「真紘さ……」
「由惟、待ってろ!今行く!」
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