無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚～甘く豹変した旦那様に捕まりました～【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】

心のままに

　すぐに警察が到着し、横井夫妻はその場で逮捕されることとなった。監禁に傷害。ゴルフクラブを振り回した後の部屋の惨状が決め手だったらしい。

　真紘と共に事情聴取を受け、警察署を出たのは午後八時過ぎ。入り口には、なんとみどりが迎えに来てくれていた。

「由惟さん、無事でよかった！」
「みどりさん……どうしてここに？」
「そりゃあ由惟さんが心配だったからに決まってるじゃない。横井さんちに乗り込んだ時に、成澤くんがずっとスマホを通話中にしていてくれていたから様子は聞こえてたんだけど、もう気が気じゃなかったわよぉ！」

　真紘と横井たちのやりとりを聞いて警察に通報してくれたのも、みどりらしい。
　送ってくれるというみどりの言葉に甘えて車に乗り込んだ由惟は、その話を聞いて頭を下げた。

「ご心配をおかけしてすみません」
「いいのよ、無事で何よりだわ。でも一番安心してるのは成澤くんよね。学会抜け出して途中帰国した甲斐があったわね」
「そ、そうだ。真紘さん、どうして日本に……」
「…………」
「そんなの由惟さんが心配だから切り上げてきたに決まってるじゃない！由惟さんが行方不明ってわかった時の成澤くんなんて、もう大慌てよ。時差も考えないで真夜中に国際電話をかけてきて、由惟の行方を探してほしい！って必死に頼み込んできて、ね？」

　沈黙する真紘に変わって、運転席のみどりが言葉を引き継いだが、その言葉はにわかに信じがたい。由惟を心配していたなんて本当だろうか。