無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
日本庭園を挟んでお見合い会場の料亭と隣り合うホテルのラウンジでは、両家の親が和やかに歓談をしていた。
由惟を置いてけぼりにしたくせに、ラウンジのガラス窓が見えた途端、真紘は急激に歩速を落として由惟と並び歩いた。その抜かりなさが、また憎らしい。
おかげで仲良く戻ってきたように見えたようで、両家の親は二人の姿を見て破顔している。
「すっかり仲良くなったみたいだなぁ」
(どこがですか……)
むしろこの三十分で、関係は恐ろしく冷え切っている。
「そうですね。穂乃花さんとは気が合うみたいで、会話が尽きませんでした」
確かに会話は尽きなかったけれど、空気はこの上なく険悪だった。偽物めいた笑顔を浮かべる真紘を睨みたくなるのをなんとか抑える。
「穂乃花さんとも今後の話をしたんですが、私としてはすぐにでも籍を入れて一緒に住めればと思っています。互いのことをもっと深く知ろうにも私は病院に缶詰めなことが多いですし、オペもあって連絡も取りづらいですから」
「へ?」
「ど、同居……」
真紘の仰天発言に、由惟と寛二は一緒になって固まった。そんなことを話した覚えはない。
先程どうでもいいと言い捨てたくせに、すぐに同居をしたいなんてどういう風の吹き回しなんだろう。互いのことを深く知りたいなんて露ほども思っていないだろうに。
(むしろ面倒だから、一緒に住もうとしてるとか?)
普通なら、お見合いしてから入籍するまでの間に何回かデートをしたりして親睦を深めるものだろう。この男はその過程すら踏みたくないのでは……?
一つの可能性が頭をよぎると、そうとしか考えられなくなった。
由惟を置いてけぼりにしたくせに、ラウンジのガラス窓が見えた途端、真紘は急激に歩速を落として由惟と並び歩いた。その抜かりなさが、また憎らしい。
おかげで仲良く戻ってきたように見えたようで、両家の親は二人の姿を見て破顔している。
「すっかり仲良くなったみたいだなぁ」
(どこがですか……)
むしろこの三十分で、関係は恐ろしく冷え切っている。
「そうですね。穂乃花さんとは気が合うみたいで、会話が尽きませんでした」
確かに会話は尽きなかったけれど、空気はこの上なく険悪だった。偽物めいた笑顔を浮かべる真紘を睨みたくなるのをなんとか抑える。
「穂乃花さんとも今後の話をしたんですが、私としてはすぐにでも籍を入れて一緒に住めればと思っています。互いのことをもっと深く知ろうにも私は病院に缶詰めなことが多いですし、オペもあって連絡も取りづらいですから」
「へ?」
「ど、同居……」
真紘の仰天発言に、由惟と寛二は一緒になって固まった。そんなことを話した覚えはない。
先程どうでもいいと言い捨てたくせに、すぐに同居をしたいなんてどういう風の吹き回しなんだろう。互いのことを深く知りたいなんて露ほども思っていないだろうに。
(むしろ面倒だから、一緒に住もうとしてるとか?)
普通なら、お見合いしてから入籍するまでの間に何回かデートをしたりして親睦を深めるものだろう。この男はその過程すら踏みたくないのでは……?
一つの可能性が頭をよぎると、そうとしか考えられなくなった。