無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】

真実の愛

 翌日。
 真紘は夜の飛行機で慌ただしくフィンランドへ戻ることになった。予定を大幅に変更して一時帰国してしまったため、残りのスケジュールがパンパンらしい。

 そばにいられなくて悪い、なんて謝られたが、こうして無理を押して助けに来てくれただけで十分すぎた。
 もう一生会えないと思っていたのだから、一週間くらい平気で待てる。真紘を心配させないようにそう話したら、なぜか微妙な顔をされたが。

 自宅から羽田空港までは、車で二時間ほど。見送りに行こうと、由惟は当然のように準備を進めていたのだが、直前になって真紘は見送りはいらないと拒みだした。

「帰りの足がないだろ。危ないから家にいてくれ」
「真紘さん、私のこと中学生かなにかだと思ってません?普通に電車で帰れますから」
「スマホもろくに使えない奴が何言ってんだ。東京の路線はお前が思ってるよりよっぽど複雑だぞ」
 
 そうたしなめられると、一人で帰れるか心配になってくる。東京に行ったのは、高校の校外学習が最後だ。
 
「でも、ちょっとでも真紘さんと一緒にいたいから……」

 なんとか許してもらえないだろうか。シュンとしながら真紘を見上げると、真紘はたじろいで唇を引き結んだ。
 それから無言の攻防が続き、真紘が上を向いたり下を向いたりして考え込んでいる間もずっと目顔で訴え続けていたら、ついに真紘が折れた。

「………………わかった。ただし、みどりさんに迎えにきてもらう」
「いや、そんなわざわざ……みどりさんも忙しいでしょうし……」
「こっちはあの人の手のひらの上で散々転がされ続けたんだ。少しは借りを返してもらってもいいだろ」

 連絡をすると、みどりは快諾してくれた。申し訳なく思いつつもありがたくその申し出を受けることにし、二人で家を出た。
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