無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
お見合い大作戦
ハッとして視線を向けると、長身の男性がちょうど個室に足を踏み入れたところだった。
互いの視線が交錯した刹那、由惟は金縛りを受けたかのように指一つ動かせなくなった。それほどまでに彼は圧倒的なオーラを放っていた。
もっとも印象的だったのは切れ味の鋭いナイフのような目元。眼差しの力強さに、由惟は胸を抉り抜かれたような覚えがした。
彼が歩くと、下ろしたての糸のような黒髪がサラサラと揺れる。まるでスローモーションでコマ送りになっているように、彼の一挙手一投足に目が奪われた。
きっちりと着こなしたスリーピースのスーツには一切の隙がなく、彼の引き締まった体躯に見事にフィットしている。
美しい流線を描いた双眸も、通った鼻梁も、シャープな輪郭も、何もかもが完成されていた。こんなに整った顔をした人間を、由惟は見たことがなかった。
(彼が、成澤真紘(なりさわまひろ)さん……)
みどりたちから何度も聞かされた名前を、由惟は頭の中で反芻した。
成澤真紘、三十五歳。二十五歳の由惟とは十歳離れている。さらに穂乃花は由惟の二歳下だから、一回り年齢が違うことになる。
なかなかの年の差だと思っていたが、洗練された真紘の容姿を前にすると、年齢差など気にならなくなる。
現在は生田目総合病院・脳神経外科の部長としてセクションを束ねているという真紘は、経歴も華々しい。
日本の最高学府を卒業した後は、附属の大学病院で勤務し、直近ではカリフォルニアへ留学もしていたらしい。
優秀な上に顔も良いなんて最強だ。一人の人間に二物も三物も与えてしまうなんて、まったくもって神様は不平等である。
互いの視線が交錯した刹那、由惟は金縛りを受けたかのように指一つ動かせなくなった。それほどまでに彼は圧倒的なオーラを放っていた。
もっとも印象的だったのは切れ味の鋭いナイフのような目元。眼差しの力強さに、由惟は胸を抉り抜かれたような覚えがした。
彼が歩くと、下ろしたての糸のような黒髪がサラサラと揺れる。まるでスローモーションでコマ送りになっているように、彼の一挙手一投足に目が奪われた。
きっちりと着こなしたスリーピースのスーツには一切の隙がなく、彼の引き締まった体躯に見事にフィットしている。
美しい流線を描いた双眸も、通った鼻梁も、シャープな輪郭も、何もかもが完成されていた。こんなに整った顔をした人間を、由惟は見たことがなかった。
(彼が、成澤真紘(なりさわまひろ)さん……)
みどりたちから何度も聞かされた名前を、由惟は頭の中で反芻した。
成澤真紘、三十五歳。二十五歳の由惟とは十歳離れている。さらに穂乃花は由惟の二歳下だから、一回り年齢が違うことになる。
なかなかの年の差だと思っていたが、洗練された真紘の容姿を前にすると、年齢差など気にならなくなる。
現在は生田目総合病院・脳神経外科の部長としてセクションを束ねているという真紘は、経歴も華々しい。
日本の最高学府を卒業した後は、附属の大学病院で勤務し、直近ではカリフォルニアへ留学もしていたらしい。
優秀な上に顔も良いなんて最強だ。一人の人間に二物も三物も与えてしまうなんて、まったくもって神様は不平等である。