(一)この世界ごと愛したい
もう少しだけ…。
あと少しだけ…。
私は申し訳ないと思いながらも、この街を探索してみる。
「うわー、嬢ちゃん可愛いなー。」
「へ?」
「かなり上玉じゃん。ねえ、これから俺等と遊ばない?」
三人の男性に呼び止められた。
「遊ぶって、今から?」
「そうそう。時間大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃない…かも。」
「そんなこと言わずにさ。ちょっとだけでもいいから!」
ちょっとだけ…か。
うーん。でもハルとるうが待ってるし。後でさっきの本屋さんも寄りたいし。
「…やっぱ今日はやめとく。」
「ええー!そんなつれないこと言わないでさー!」
三人の内の一人が、私の腕を掴む。
「…おい、離せ。」
地を這うような、低い声が私の背後から聞こえる。
「る…るう。」
振り返ると、それはもう般若の如き恐ろしい顔のるうが立っていた。
「ちょっとお兄さん!俺たちが先だって!」
「そうそう。嬢ちゃんそうだよなっ?」
私に振らないでください。
君たちには分からないんですか。めちゃくちゃ怒ってますけど、るうさんが。
「お前が先なわけねえだろ。こっちは十年前から予約してんだよ。」
「は?」
るうは私を掴む男性の手を無理矢理払い除け、私の手を引いて素早くこの場を離れる。